AIが急速に進んでいる現在ですが、日本酒業界にもAIが取り入れられているのをご存知ですか?
近頃では大きな百貨店やスーパーなどでも置かれており、自分の好みや気分にあった日本酒を選んでくれる日本酒ソムリエAI『KAORIUM for Sake』。
今回は実際にそのAIを触ってみたので、使ってみた感想や現役エンジニアの視点から見た魅力や展望を紹介していきます!
目次
日本酒ソムリエAI『KAORIUM for Sake』とは
日本酒の香りや味を表現するAI
SCENTMATIC株式会社が提供する日本酒ソムリエAI『KAORIUM for Sake』は、一言でいうと「日本酒の風味を言語化するAIシステム」です。
私も日本酒が好きで普段から飲んでいますが、日本酒は香りや味を表現するのが難しいなとよく感じています。
日本酒が好きな方で発信しているみなさんも同じような悩みを持っている人は多いんじゃないかなと思います。
そんな難しい日本酒の風味をAIを用いることで、その銘柄に合った風味を様々な言葉で表現してくれるのがこのAIです。
AIが自分に合う日本酒を診断して提案
このAIは日本酒の風味を様々な表現で教えてくれるだけでなく、自分が今求めている日本酒を診断して提案してくれます。
例えば、日本酒の「味わい」から今自分が欲しい日本酒の味わいを選択することで、それにマッチする日本酒をたくさんある銘柄の中から最適なものをいくつか提案してくれます。
提案してくれた日本酒を選択すると、画像のようにその日本酒の風味を具体的な表現でたくさん表示してくれるため、使っている側からするととても分かりやすいですよね。
実際に日本酒ソムリエAIで診断してみた
実際に日本酒ソムリエAIで診断して、自分に合う日本酒を聞いてみました。
まず最初はどのように選ぶかを選択します。「味わい」だけでなく、「気分」から選ぶこともできます。せっかくなので「気分」で選んでみました。
今回はリラックスしたい気分だったので「リラックスしたい」を選択します。
すると、さらに「リラックスしたい」のイメージについて聞かれました。ひとりひとりリラックスしたい気分でもイメージが違うので、より細かく気分の具合を聞いてくれます。
今はちょうど秋も深まってきて涼しくなってきたので、「穏やかな秋の空」でリラックスするようなイメージを選択しました。
すると、そのイメージとマッチする日本酒TOP3を表示してくれました。
「マッチするお酒TOP3をみる」をタップすると表示された日本酒の詳細が見れます。表示した銘柄の情報やラベル、説明だけでなく、香りや風味を様々な表現や色で伝えてくれるのでとてもイメージしやすかったです。
また、左下にマッチ度も表示されているため、どれくらいイメージした気分とマッチしているかもわかりやすくなっています。
その他に提案された日本酒はこんな感じでした。
使ってみた感想としては、提案された日本酒の風味を「ミルクチョコレート」や「さつまいも」など具体的な食べ物に例えてくれるのが、とてもイメージしやすくて良いなと思いました。
AIの特性上、膨大な言語表現を持っていて、そこから最適なものを出していると思うので、人間にはできない細かい表現ができているのかと思います。
また、「ふくよか」などの味わいの部分も円の大きさによってどれくらいのバランスというのを表現しているため、視覚的にもとても分かりやすかったです。
日本酒の風味なども発信している身からすると、そのような表現するのが良いのかととても勉強になりました。(笑)
日本酒ソムリエAIを現役エンジニアが解説!
もともとSCENTMATIC株式会社では『KAORIUM』という「香りと言葉の変換サービス」を提供しています。
インターネット上に大量にある言語表現をデータベース化(データとして蓄積)し、その大量の香りの表現をAIに学習させることで、実際の香りとそれに合う言葉を変換できるようにしています。
今回紹介している日本酒ソムリエAI『KAORIUM for Sake』は、そのサービスを日本酒に特化させたものです。ちなみに、ワイン用のAIも出ているようで日本酒と同じようにワインの風味を表現してくれるようです。
「ことば」を覚えるAIを使用している
今回の紹介しているAIは「自然言語処理」というAIシステムを使ったもののようです。つまりは「ことば」を覚えるAIということですね。
iPhoneに搭載されている「Siri」やAmazonの「Alexa」などもこの自然言語処理を用いています。
今回の日本酒ソムリエAIは、「Siri」や「Alexa」のように実際に会話するというわけではなく、日本酒の風味と言語を紐付けるだけです。この処理を自然言語処理の中でも「意味解析」といいます。
大量にある香りや味の言語表現と日本酒の銘柄との関係性を学習することで、銘柄によってどのような表現が近いのかを導くようなAIを使っています。
「画像」を使ったAIもある
AIには大きく分けてもう1つ「画像処理」というAIシステムもあります。その名の通り、「画像」を使って処理をするAIです。
画像処理の中でも多くの種類のAIがありますが、最近流行っているものだと、画像の自動生成や自動運転で用いる物体検出などもこの画像処理に属するものです。
今回の日本酒ソムリエAIは画像処理は特に使用していないようですが、画像処理も組み合わせてみるとより精度の高い提案や別のサービスとして出てくるかもしれないですね。
今後はどのようになるか?
今はまだ選択肢が提示されて、その選択に応じて診断してマッチするものを提案する形ですが、「Siri」や「Alexa」のように会話をしてマッチするものを提案するような形になるととてもおもしろいなと思いました。
また、先ほど紹介した画像処理も組み合わせたAIが出てくると、タブレットのカメラを用いて相手の表情や仕草を見ることもできます。これによって細かい提案ができたり、リアクションを見て別のものを再提案するようなものも出てくるかもしれませんね。
現状は人間の日本酒ソムリエの方が、実際に人とコミュニケーションを取って、相手の表情や仕草なども含めてその人に合うものを提案していると思うので、まだまだ人間の方が勝っている部分は多いですね。
今後の「日本酒 × AI」の動きも楽しみです!
また、このような体験できる飲み比べセットも販売しているようなので興味があれば注文してみてもいいですね!
今後も日本酒とIT関連のものを見つけたら解説しようと思っていますので、次回をお楽しみに!
その他にも日本酒の豆知識なども投稿しているので興味があれば見てみてください↓
◾︎ 参考サイト
KAORIUM 公式サイト https://scentmatic.co.jp/projects
KAORIUM for Sake&Wine 公式サイト https://scentmatic.co.jp/kaorium/sake/sake-retail
スキルアップAI Journal「自然言語処理とは?意味や仕組み、活用事例、最近の研究事例」 https://www.skillupai.com/blog/tech/nlp/
松田賢太(マツケン、すけさん)
フリーランスシステムエンジニア(2023年8月~)
地方グルメや日本酒、ビール中心にブログ投稿しています。
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